他の誰でもない、自分を愛する

 近年LGBTという言葉を耳にする機会が増えてきました。ニュースでも取り上げられ、世間に知られつつあります。LGBTとはlesbian、gay、bisexual、transgenderのそれぞれの頭文字をとってつけられた略称のことで、似た言葉にセクシャルマイノリティーがあります。

 性の多様化やアイデンティティを強調し、人権や文化を認めてもらうことを目的とした活動も増えています。では頭文字それぞれの意味はどういうものか約説していきます。

 lはレズビアン(女性同性愛者)といって、女性が恋愛の対象となる女性のことです。gはゲイ(男性同性愛者)で、こちらは男性が恋愛対象となる男性のことを指します。レズビアンとゲイは、バイセクシャルである人を含むこともあります。bはバイセクシャル(両性愛者)で、女性と男性どちらにも性的魅力を感じる人のことをいいます。最後にtのトランスジェンダーですが、こちらは若者を中心に増えているのでもしかすると知名度は高いかもしれません。トランスジェンダーとは、生物学的な自分の性と自分で思っている性が一致しない人のことです。しかし自分の性を変えるような外科的手術を望んでいるわけではないため、見た目で自分を表現する人が多いのも特徴的だといえます。

 LGBTの人たちは不遇な扱いを受けることもあり、精神的に傷を負う人も少なくありません。そのために自分の性的アイデンティティを隠してしまいがちなのが現状です。それでも声を上げて主張をすることで、LGBTがより社会的な立場になるように求めています。

手と手を取り合って

 LGBTの中で全てが穏便に解決されているわけではありません。LGBT同士の対立というのもあるといわれています。例えばgayという表現自体が差別的意味を持っていると言われたり、フェミニズムが女性同性愛者だけを単一化するように促したりと、問題も次々に浮上しているのも事実です。また都市で行われるLGBTのパレードやイベントを嫌うLGBTの人もいます。なぜならこうした政治的なはたらきは、他人と違うことは欠点だと強調されていると考えているからです。

 LGBTの人にとって、社会に認められたいかそうでないかは対立の原因の一つだといわれています。自分を少数派だと表現されることに嫌悪感を抱く人もたくさんいるでしょう。しかしLGBTの人の多くは特異な才能やセンスを持つ人もいて、着実に社会に馴染み始めています。お互いを認め合って尊重していき、新たな時代を共に作り上げていきましょう。