ノンセクシャルとは?

 メディアなどで盛んに取り上げられるようになったこともあり、LGBTの認知度は高まりつつあります。しかし、それに含まれないセクシュアルマイノリティであるノンセクシャルの存在をご存知でしょうか?ノンセクシャルは非性愛とも呼ばれており、他者への恋愛感情はあっても相手に性的魅力を感じない人のことを言います。

 よく似たカテゴリーにアセクシュアルがありますが、これは他者に対して性的欲求のみならず恋愛感情もわかない人のことです。ノンセクシャルの人は恋愛をしていても性的接触に興味がなく、相手から要求された時に違和感を感じて自分の性欲に対する認識に気づきます。その多くは初めての交際を経験する思春期に自覚すると言われており、プラトニックなままで進展しないことで相手との仲がこじれてしまって交際が長続きしないという悩みが生じます。

 しかし、一口にノンセクシャルと言ってもそのタイプは様々です。他者への性的欲求がないだけで性的な事柄に興味を持つ人もいますし、性的なもの全てに嫌悪感を感じる人もいます。ノンセクシャルの人の数だけ特徴が異なるため、一言で定義できるほど単純なものではないカテゴリーです。また、ノンセクシャルの人は他者への性的欲求がないからといって性行為ができない訳ではありません。ただし、そこに喜びや興奮を伴わないため当人にしてみれば違和感だけが残るのです。

ノンセクシャルに対する理解の現状

 ノンセクシャルはLGBTのカテゴリーにも含まれないマイノリティの中のマイノリティなので、その存在が色々と誤解されがちです。性欲を持つ人からすると理解しにくい存在ということもあり、両者が交際した時に様々な問題が発生しやすくノンセクシャルの人を悩ませます。

 愛する人から理解されないという苦悩は、ノンセクシャルの人を孤立させる要因の一つです。ひどい場合には、周囲の人から病気と言われたり冷たい人のように扱われることもあるほどです。ノンセクシャルの人の多くが直面する恋愛が続かないという悩みは、そのまま生涯のパートナーを見つけるのが難しいという悩みに直結します。中にはノンセクシャルであり同時にLGBTでもある人も存在しており、そうなるとパートナー探しが更に困難を極めます。

 ノンセクシャルへの理解を深めることは、そのカテゴリーに分類される人たちの孤立を防ぐことにも繋がります。LGBTに関しては、その存在が一般に広まって様々な問題提起が行われたことで理解度が高まりました。ノンセクシャルの人への対応も同様の変化が求められています。