レインボーフラッグの歴史
LGBTの社会運動を象徴するものに、レインボーフラッグがあります。レインボーフラッグが生まれたのは1978年。サンフランシスコで行われたサンフランシスコ・ゲイ・フリーダム・パレードで初めて使用されました。
当時のゲイ解放運動ではピンクトライアングルが象徴として使用されていましたが、これはヒトラー政権下のドイツに由来を持つマークで、どうしてもネガティブな印象が拭いきれませんでした。新しいシンボルが必要とされた際に、アーティストのギルバート・ベイカーが虹をモチーフにした旗をデザイン。その美しい旗は瞬く間に人々に受け入れられ、LGBTの新たなシンボルとして世界中で使われるようになっていきました。
現在最も広く使われているのは、赤、橙、黄、緑、青、紫の6色を使ったものです。公式では、横方向にした時に赤が一番上にくる状態が正しいとなっています。
込められた意味
レインボーフラッグは、生まれた段階では青色の代わりに藍色が使われており、更にピンクとターコイズが加わった8色で構成されていました。これらの色は、LGBTの多様性を表しています。デザインしたベイカーはこの8色の色にそれぞれ意味を込めています。ピンクはセクシャリティ、赤は生命、橙は癒し、黄は太陽、緑は自然、ターコイズは魔術や芸術、藍色は平穏や調和、紫は精神です。その後布地の調達など製作上の理由からピンクとターコイズが外れ、藍色が青色に変更されることで現在の6色に落ち着くことになりました。
レインボーフラッグには様々な派生版が作られています。よく知られているものに、レインボーフラッグの中央にギリシア語のλ(ラムダ)を白抜きしたものがあります。これは1970年代にニューヨークのゲイ活動家同盟が使用していたシンボルで、当時コミュニティの一員であることを認識する手段として使われていたという経緯があります。
黒のストライプが加えられたレインボーフラッグもあります。これはAIDSで亡くなった人を悼むためのものです。異性同士に比べ、同性同士の性交渉では妊娠の可能性がゼロである故に避妊具を着けないことが多く、結果としてAIDSリスクが上ってしまうという現実があります。そのことからAIDS活動家によって黒が加えられた旗が使われるようになったのです。
国や地域の旗に虹の色彩を用いることで、LGBTのシンボルにすることもあります。アメリカ合衆国の赤と白のストライプを虹色にした旗はこの代表例といえるでしょう。