LGBTとはセクシャルマイノリティ全般を指す言葉です。日本では同性パートナーシップ制度の導入が話題となった頃からメディアで耳にする機会が増えるようになりました。普段、暮らしの中でLGBTを意識して生活することは少ないかもしれません。
しかし、社会にはあるデータで8.0%ともいわれる一定の割合のセクシャルマイノリティが暮らしています。社会としてLGBTについての基礎知識をみんなが知って、差別を解消する取り組みが課題となっています。
ここでは、LGBTの基礎知識と合わせて、日本社会でLGBTがどのように扱われてきたかの流れや今後の課題をご紹介します。
「LGBT」はセクシャルマイノリティの総称
LGBTとは性的少数者を意味するセクシャルマイノリティ全体のことで、次の4つの英語の頭文字が由来です。
・L=Lesbian(レズビアン) 女性同性愛者
・G=Gay(ゲイ) 男性同性愛者
・B=Bisexual(バイセクシャル) 両性愛者
・T=Trance gender(トランスジェンダー) 性自認の異なる人
このうち、トランスジェンダーは性同一性障害とも混同されがちで少し分かりづらいのですが、生まれたときの性別や身体と自分が認識している性別や身体感覚が異なる人を指す、医学用語です。
もともとセクシャルマイノリティはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーそれぞれでコミュニティを作り、社会活動をしていました。1970年代に入るとゲイを中心にセクシャルマイノリティの法的権利や差別撤廃を訴える活動が盛んとなっていきます。やがて4つのカテゴリの流れが集まって「レインボープライド」のような世界的活動へと発展していきました。
なお、最近はLGBTの枠組みに当てはまらないセクシャルマイノリティも登場しています。そのため性自認や性的指向が定まっていない人を指すQuestioning(クエスチョニング)を含めて「LGBTQ」と呼ばれる機会も増えています。
現在、世界の約20カ国で同性結婚制度が導入されており、法的に男女の夫婦と同等の権利が与えられています。
日本社会におけるLGBTをめぐる取り組みと課題
日本でも芸能人や有名人がLGBTであると公表するカミングアウトの例が増えています。タレントのGENKINGさんはセクシャルマイノリティを公表して芸能活動を続け、2018年1月、前年5月にタイで性別適合手術を受けたことを発表し話題となりました。ほかにもレズビアンやバイセクシャルであると公表するタレントや芸人が少しずつ増えています。
それでは日本社会のLGBTに関する取り組みは進んでいるのでしょうか。2017年3月、文部科学省は「いじめ防止基本方針」のなかでLGBTの生徒をいじめや差別から保護する項目を追加変更しました。
また、2015年の東京都渋谷区から始まった「パートナーシップ証明制度」は2018年6月現在、全国の7つの自治体で導入されています。
しかし、海外に比べるとまだLGBT関連の制度やルールづくりは発展途上です。同性パートナーシップ制度は男女の婚姻制度ではないため、あくまで社会への理解を進めたり、生命保険の受け取りや病院のICUに付き添いやすくなるといった民間レベルの対応にとどまっています。長年、連れ添った同性パートナーであっても遺産相続ではまだ遺言書の作成で対応しているのが現状です。
≪まとめ≫
LGBTは4つのセクシャルマイノリティの総称として日本社会でも少しずつ知られるようになりました。有名人でLGBTを公表したり、同性パートナーがいることを発表するといったニュースも珍しくなくなり、社会の意識が徐々に変わろうとしているのは確かです。
ただ、法的な婚姻制度まである海外に比べれば、日本はまだ同性パートナーシップ制度を導入する自治体もごくわずかで、内容も十分であるとはいえません。LGBT当事者が社会の中で暮らしやすくなるよう、具体的な制度の整備が急がれています。