LGBTの芸能人の扱われ方
日本では、昔からLGBTの芸能人を見世物感覚で面白半分に取り上げる傾向があります。特に注目されがちなのはLGBTの中のゲイとMtFのトランスジェンダーで、昔からニューハーフやオネェといった括りで好奇の目にさらされてきました。厳密に言えばゲイにもMtFのトランスジェンダーにも様々なバリエーションがあるのですが、多くのメディアは生まれた時に男性であった人物が女性の格好をしているということを強調します。ゲイとMtFのトランスジェンダーには明確な区別があるにも関わらず、そういったデリケートな内容には蓋をしてしまっているのです。
一方で、LGBTの中のレズビアンやFtMのトランスジェンダーはメディアで取り上げることはタブー視されがちです。女性の姿のゲイやMtFのトランスジェンダーがバラエティ番組などで盛んにもてはやされるのに対して、レズビアンやFtMのトランスジェンダーの芸能人をテレビなどで見かけることはほとんどありません。LGBTの中のバイセクシャルについては一部の芸能人がその事実を公表していますが、これは海外における話であって偏見の強い日本では極めて稀なケースです。日本におけるLGBTの芸能人の偏狭な扱われ方には、認識の浅さと差別意識が隠れています。
求められるLGBTの芸能人への認識の変化
LGBTとして芸能界で活躍する人の多くは、プロフェッショナルとして何かを極めているという特徴があります。それは歌手としてであったり評論家としてであったりメイクアップアーティストであったり、ジャンルについては様々です。本来であればそういった才能が評価されなければならないにも関わらず、その人のキャラクターに注目が集まってタレント化しているのが実情で、文化的な損失は計り知れません。
また、こういった扱い方はLGBTの芸能人の人権を著しく侵害するものです。芸能人は色々なメディアを通して一般の人々に強い影響を与えるため、不当な扱いは世の中の全てのLGBTへの差別を誘発することにも繋がります。求められているのは、LGBTの芸能人に対する認識の変化です。男性が女性の格好をすることを笑うのではなく、その背景にある事情を考慮して一つの生き方として尊重する必要があるのです。
これは、完全に無視された存在であるレズビアンやFtMのトランスジェンダーにも当てはまります。こういった人たちが芸能界という表舞台に堂々と登場できる環境を整えることはとても重要です。LGBTの社会運動は、日本の芸能界にも変化を要求しています。