台湾の同性婚法施行から2年、台湾では多くの同性カップルが婚姻を結んでいます。しかし日本では、同性婚が認められていません。同じアジアなのになぜ・・・?

原因は日本ならではの事情や一部の人々の考え方が関係しています。台湾の同性婚法の内容や日本の同性婚の事情を知り、知識を深めていきましょう。

台湾の同性婚法とは?

台湾の同性婚法とは、2019年5月24日にアジアで初めて施行された同性婚を認める法律のことです。同性婚法の主な内容は、以下の通りです。

  • ・満18歳以上であり、20歳未満の場合は法定代理人の同意を必要とすること
  • ・直系血族・直系姻族・4親等以内の傍系血族は婚姻できない
  • (養子縁組による4親等傍系血族で世代が同じ者は除く)
  • ・民法上の婚姻関係または同性婚姻関係を、同時に2以上成立させることはできない

つまり満18歳以上・近い家族ではない・相手が1人であれば、同性婚ができるということ。(自分と相手、それぞれに2人以上の承認による署名は必要)

男女の婚姻とそう変わらない内容であるのが分かります。

台湾は同性婚に寛容?

「同性婚法が施行されたことから、台湾は同性婚に寛容なの?」と考える人もいるようです。実際には台湾も日本と同様に、同性婚に対して悪いイメージを持っている人が少なくありません。

実際に反対派による大規模なデモが起こった過去もあります。決して、恵まれた環境にあったわけではないのです。

なぜ日本では同性婚法が施行されない?

日本で同性婚法が施行されない1つの要因として、日本国憲法が関係しています。

日本国憲法第24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立する」と記載されています。

両性とは男女のこと。現代の日本において同性婚は、憲法違反という見方があるのです。そのため法設備をするのが難しく、日本において同性婚が施行されない要因となっています。

また日本はLGBTへの理解が進んでいるとは言えず、依然として偏見や差別意識に苦しんでいる人たちが少なくありません。

たとえば「同性婚を認めれば、少子化が進むのではないか」といった考えです。逆に考えて同性婚が認められたとして、異性愛者が同性と結婚することがあるでしょうか。

同じように同性婚を認めないからといって、同性愛者が異性と結婚することもほぼ考えられません。(絶対にないとは言いませんが、かなり珍しい)

同性婚の施行=少子化は偏った考え方であるといえます。

パートナーシップ制度ではダメな理由

パートナーシップ制度とは、2015年に東京都渋谷区と世田谷区が全国で先駆けて始めた制度です。同性カップルの関係を公的に認める制度であり、全国で動きが広がっています。

2人の関係性が婚姻と同様と認められれば、各自治体が証明書を発行。2人の関係は公的に認められます。

しかしパートナーシップ制度には、欠点があります。まず法的に認められているわけではないため、遺産相続ができない・家族として認められず、病室に入れない。

(病院によっては、法的に認められた家族ではなくても受け入れる場合があります)

ほかにも家族カードが作れない・生命保険の受取が難しいといった、数多くの欠点を抱えています。

2人で一緒に生きていくなら、お金や命に係わる問題を解決していく必要があります。「パートナーシップ制度だけではダメ」と考える同性カップルがいるのは、自然なことといえるでしょう。

婚姻のメリット

同性婚が日本で認められれば、同性との婚姻を望む人たちにとって多くのメリットがあります。そのため「日本で同性婚を認めてほしい」と考える同性カップルが少なくありません。

婚姻のメリットとして、たとえば・・・

  • ・相手と、実子・養子の共同親権を持てる
  • ・相手の遺産を相続できる
  • ・相手が死亡した場合、遺族年金を受け取れる
  • ・所得税の配偶者控除・相続税の配偶者控除など、さまざまな控除が受けられる
  • ・相手に介護が必要になった場合、介護休業を取得できる
  • ・離婚時に、財産分与や慰藉料を請求できる

ほかにも医療行為の同意や葬儀に参列する権利など多数・・・

このように婚姻には、多くのメリットがあります。男女の婚姻なら、当たり前のこと。「同性というだけで、当たり前を受け取れない・・・」同性カップルが納得できないのも分かります。

【まとめ】日本で同性婚が認められるためには

日本で同性婚が認められるためのポイントといえるのが、日本全体の意識を変えていくことではないでしょうか。同性婚は反対する意見も多く、法改正がされない1つの要因となっています。

同性婚に反対する人にも言い分があるため、無視はできません。しかし互いに落しどころを見つけて、対等に話し合う機会を作っていくことも大切だと感じます。

「同性婚が認められると、日本はどう変わっていくのか?」さまざまな考えを受け入れ、社会全体を変えていく時期に入っているのかもしれません。